冬バスをトップで狙う。
前回も思ったけれど、すごく雰囲気がよくて、「これ、バス出んじゃね?」なんて場面が幾度かあった。冬バスのトップウォーターだから、そう簡単にはいかないけれども。
【冬バスをトップで釣りたいの】
冬バスのトップ釣行も2度目。あと何回行けるだろうかと思う今日この頃。毎週末の天候を推し量りつつ釣行計画を立てるのであった。
*
午前11時、現着。
前回も狙った権現堂からの吐出し。どうにもこのポイントが気になっている。
閉塞しているから、いなければいつまでも絶対に釣れないし、いればいつかは釣れる気もする。
今回はテクテクと反対側に回り狙ってみることにした。
まさかバスのヤツめ、いつもとは逆からルアーが飛んでくるとは夢にも思うまい。
おもむろに取り出したルアーは…
「ザラII 改」である。
シャンプーハットのような、金属製のカラーをザラIIに取り付け改造したそれは、廃番のヘドン210サーフェスを模したものだ。
オリジナルは後に復刻されたところをみると、根強いファンの熱望があったのだろう。
ゲートギリギリの陰へ投げ込む。この襟巻がうまく水を掴み、ザラII改はネチネチとその場で180度テーブルターンを見せてくれた。
「…出る!」
バスが飛び出してきてもおかしくない。
不思議と、この時ばかりはそう思った。
本湖、とある階段護岸。今回もここは外せなかった。
なぜならば、この付近はディープを控えているからだ。いざとなれば逃げ込める深場が隣接する浅場は、冬バスの狙い目である。
ルアーを変えた。
自作ペンシル
「真向(マッコウ)」である。
こんな場所に居るのはデカいヤツ。
しかも逃げ場があるからきっと強気だろう。
大手を振って闊歩しているに違いないのである。
マッコウとオリジナルザラスプークを並べてみる。
オリザラも大きい部類に入るルアーだけれど、マッコウはそれ以上にビッグサイズのペンシルベイトだ。
デカバスをその気にさせるサイズ。
ダウンショットだのネコリグだのと食わせの釣りじゃない。変化球なんぞ知らない。
強気のバスに真向から勝負を挑むルアー、それがマッコウなのである。
しかし気合いは空回りした。
マッコウはことのほか泳ぎ下手だったのだ。
彼はドッグウォークもスケーティングもこなす事ができず、ただ真っ直ぐに棒のように突き進むばかり。まさに真向だった。
仕方がない。次だ、次。
「自作ポッパー」である。
小学生のころ、ヘドンのラッキー13を真似て初めてバルサで作った。
当時の小学生にとってヘドンのルアーは高嶺の花。手が出せるものじゃない。だから作った。入門書の写真を参考にして。
このポッパー、驚いたことにアクションが秀品。
本物のラッキー13と遜色ない動き、音。
もしも当時、本物を入手できていたとしたら、きっと驚いたに違いない。
「作ったやつと同じだ」、と。
たとえこの冬に釣ることができずとも、こいつは夏にまた使ってやりたい、そう思った。それほど、文句の付けどころがなかった。
ただ一点軽さを除いては。
キューピーエリアに移動した。
ここは冬バスをトップで釣るために、最も有望で最も期待しているエリア。
先行アングラーはたった一人だけ。それも手前側で粘っているだけのようだ。ワームだろうか。
「...いける」
どうやら、ここが本日の最終決戦場になりそうだ。
果たして狙うバスは現れてくれるのか。
いや、もうバスじゃなくてもいい。
自作のルアーに飛びついてくれるのなら何でもいい。
あとはその時まで、ひたすら投げ続けるだけだ。
権現堂は日を追うごとに増水している。
雑草が水没し、バスが隠れるカバーを形成しているのだ。
近いうちに中段平場まで水位が上がるだろう。
平場が水没すると、一時的だけれど釣りづらくなる。しかしチャンスはその後。
中段平場の水深が50cm~1m程度になった時、格好のシャロー(浅場)が形成されるからだ。
水没した雑草。
このカバーを避けながら、そこに潜むであろう魚の鼻っ面にルアーをタイトに送り込みたい。
となると...
自作ペンシル「ヒュブリス」と
自作ペンシル「ラビリンス」である。
初めはどちらも「ラビリンス(迷宮)」と名付けるつもりだった。
尖った方が「ラビリンス・スケーター」、丸っこい方が「ラビリンス・ウオーカー」なんて具合に。
しかしいざ実釣してみると、スケーターの方は思うようにスケーティングしてはくれなかった。机上で「こうすればいいハズ」とばかり形にしてみたけれど、そうはならなかった。
左右に幅のある滑るようなアクションは、簡単には実現しなかったのだ。
机上の空論。完全に思い上がりである。
名前は変えることにした。
「ヒュブリス(思い上がり)」と。
しかし、釣れないわけではない。
ヒュブリスが思い上がりじゃない思い上がりになる為に、今日ここに持参したのである。
ペンシルベイトと呼ばれるルアーは、ロッド操作によって左右のスライド幅を任意に変えることが可能。だからカバーをかわしながら、タイトに送り込むことができる。
これは他のルアーでは、まず不可能。
水没した雑草が迷路のように複雑に入り組み、その中を自在に進むラビリンス。
その姿は、まるでラスボスを目指し迷宮を彷徨う冒険者のよう。
異なるのは、伝説の武器と防具を装備していないという点だけだ。
しかしこの迷宮は、ラスボスはおろか中ボスさえも不在だった。
ラウンド1を間近に望むと、権現堂はその川幅をぐっと狭めてくる。
護岸の勾配も3割(1:3)から2割(1:2)に変化。角度が急になってくる。
水際から2m程先での水深は1m。トップで狙うならこの範囲だと考えている。
権現堂川に数多の流れ込みが存在する中、こんなのもある。
塩ビ管からの流れ込みだ。
いや、これが流れ込みなのか迷うけれど、湖岸は常に湿っていて雑草が繁茂していた。
僅かでも生命感を感じるところを探し、キャストを繰り返す。
霞橋と2本の流れ込み。
最後になるであろうポイントを前に、ルアーを変えた。
自作スイッシャー
「水車のヤシッち」である。
スリムで食べごろサイズのボディに小さめのプロペラ。
バスを威嚇するのではない。食欲をそそるルアーなのである。
控え目のプロペラは、穏やかに艶めかしく水面を掻き乱した。
もしも自分がバスだったなら、きっと我慢できずに飛び付いただろうに。
また権現堂に夜がやってくる。
鏡のような、それでいてやんわりとした表情の水面には何が映し出されるのだろう。
最後にもう一投だけルアーを投げ入れてみた。
権現堂は、最後まで黙ったままだった。
当ブログに興味など湧きましたら、ぜひ読者登録していただければ嬉しくて励みになります。よろしくお願いいたします。