【釣行記】21.12.16権現堂川 冬の夜が釣れるのは本当だった!? 夜の権現堂が見せてくれたものとは?【バス釣り奇行(14) 行幸湖】
橋脚と護岸に挟まれたスポット。
水深は50㎝もなく、昼間だったら見過ごすポイントだ。念の為にとキャストしたシャロークランクも、引き始めから底をこずく。さすがに浅い。
竿を高く構え直しルアーを引き続ける。まるでコンクリートのような水底をこずくたびに、手元にゴツゴツと伝わってくる。
その時だった。
「ガツンッ!」
突然ロッドティップが絞り込まれた。
それは開始から3時間近く経った、午後8時40分の出来事だった。
*
冬バスの夜釣りをやってみようと思い立ったのが、一月ほど前。きっかけは、こちらの記事。
それから準備を進めた。慣れない夜釣りのために模擬釣行にも出掛け、綿密に作戦を練ったのである。
夏以来、権現堂のバスを手にしていなかった。
釣りたい。なんとしてでもバスをキャッチし、今年の締めくくりとしたかった。
【夜釣りのためのヘッドライト検討】
【夜釣りのためのヒートベスト検討】
【模擬釣行を経て立てた計画】
計画では、釣行日は12月17日(金)もしくは12月16日としていた。
できれば、より満月日に近い17日がいい。翌日が休みだから、納得いくまで釣りができるしね。
予報では金曜は風があるらしい。ただ、冷たい風ではなさそう。
ベイトリールにとって、意図せずトラブルを招くのが風だ。それにセオリーでは、冬のバス釣りにとって風は良くない。
ここは木曜の方がいいだろう。
いや待て。
そもそも冬バスを夜釣ろうとしているのに、セオリーもクソもあるか。風の中でこそバスはより一層安心するんじゃないのか。そもそも釣りがやりやすいとかそんな問題なんかじゃない。どちらが釣れるのか、だ。
道具一式は既に車載済。どちらでも行ける。もちろん、両日だって可能だ。
そうだ、両方行けばいい。納得いくまで釣ればいい。今日納得しなければ明日もやればいいだけだ。
釣行前に権現堂の水位を確認する。
大丈夫。水位に変動はない。模擬釣行時と何も変わらない。いける。
あとはシミュレーション通りやればいい。
職場から権現堂へ向かう途中、忘れモノに気が付いた。
ランディングネットである。
普段はネットを携行していない。
しかし今回は違う。
バスとの遭遇確率はきっと高くはない。数少ないチャンスを確実にモノにするためにはランディングネットは必須。夜のハンドランディングは困難だろうし、掛けた魚は絶対にキャッチしたい。
くそう、あれほど用意周到に準備をしたはずだったのに、肝心なものを忘れてしまうなんて。昨日、何度もチェックしたじゃないか。タックル、服装、装備、何もかも全部チェックしたじゃないか。なんでネットだけ忘れるかなあ。
いやまて。そもそもネットなんか背中に背負って一体何を釣るつもりなんだ? ワカサギでもすくうつもりか? 本当にあんな記事を信じているのか? 冬の夜に本当に釣れると思っているのか。
ネットは魚が釣れなければ何の意味もなさないし、虚しさに拍車を掛けるだけだ。さほど重たくはないけれど、疲労した身体に肩からズシンとのしかかってくることだろう。
そうだ。ネットなど必要ない。ただのネタ、釣れなくてもいい。記事が書ければそれで事足りる。釣る必要などないのだ。
...いや、違うだろ。
何のためにライトを買ったのだ? どうしてヒートベストにアレコレ迷ったのだ? 計画を練ろうと頭をひねったのはなぜなのか? 記事のためなんかじゃないだろう?
そうだ、釣れるかどうかなんて分からない。あの記事が本当かどうかなんて関係ないし、ただのきっかけに過ぎない。
釣ると決めた以上は納得のいくかたちで納得いくまでやるだけだ。そのためにランディングネットが必要だとしたら、家に取りに戻ればいい。時間など気にする必要などない。
権現堂川に到着したのは、予定を30分ほど過ぎた午後6時10分前だった。
用意した全ての装備を身にまとい、ついに開始。
暗闇に包まれた権現堂はシンと静まり返っていた。湖岸沿いの国道を走る車の音を、まるで吸い込んでいるかのように。
無風。湖面に波はない。
装備のせいだろうか? それともこれから始まる経験したこともない釣りを前にして、気持ちが高ぶっているのだろうか。不思議と身体が熱かった。
よし...
まずはこれからいく。
「CB-100」である。
シミュレーション通りのシャロークランク。そこに迷いはない。
ライトを浴びたCBは、ひときわ輝いて見える。
東の夜空には月が昇っていた。
週末には寒さが一段と強まり、冬本番となる予報だ。魚も感じるのだろうか。もしもそんな予知能力があるのなら、これはチャンスかもしれない。
階段護岸。
この付近は、工場の灯りで釣りがしやすかった。
振り返ればラウンド1が湖面に。権現堂の水面は滑らかでそして静かだ。
とある流れ込み。
全域から湯気が立っていた。温排水だろうか。
手触してみると、冷たくもなくかといって熱いわけでもない。
バスが身を寄せているかもしれないと期待したが、何度キャストしてもルアーはただ舞い戻ってくるだけだった。
それにしても、昼間には湯気に気付かなかった。夜だからこそなのだろう。
冬の権現堂にはネズミの一匹すらおらず、静かだった。
いや1匹だけいた。
暗闇に光る2つの目。ニャ~ゴ。
権現堂川に架かる橋。
照明が明るく、ここでも釣りがしやすかった。
CB-100はロストしてしまった。
後任として、ベルズのシャローチャップリンを引き続けている。これも用意したシャロークランクのうちの一つだ。
橋を越えたら、そろそろ折り返さねばならない。
時刻はとうに午後8時を回っている。2時間あまり竿を振り続けたけれど、いまだバスの姿を見ることは叶わなかった。
アタリのような何かは1,2度あった。バスだったのだろうか。
それとも湖底の石かなんかとカン違いしただけかもしれない。
今は水底の石だろうがゴミだろうが、「アタリ」っぽければ何でもいい。それで気持ちが繋げられる。モチベーションを維持できるのなら何でもいい。
橋脚と護岸に挟まれたスポット。
水深は浅く、わずか30~40㎝ほどしかないことは知っていた。念の為とキャストしたシャロークランクも、当然のように引き始めから底をこずく。やはり浅い。
竿を高く構え直していたその時だった。
「ガツンッ!」
突然ロッドティップが絞り込まれた。
それは開始から3時間近く経った、午後8時40分の出来事だった。
どシャローに佇んでいた「ヤツ」は、シャローチャップリンに襲い掛かったのである。
突然の出来事に、何度も叫んでしまった。
「キター! 出たー!」
バスが掛かったらまずはヘッドライトを点灯させて、それから背負ったネットを下ろして... と考えていたけれど、何度やってもライトが点かない。落ち着け。
もういい、灯りは諦めた。ならばネットだ。しかしこれもうまく下ろせない。落ち着くんだ。
外れるなよ、バレるなよ、バスに向かって念じながら何とかネットを下ろすと、ドタバタとヘッピリランディング。
やった! ついに冬バスを釣った!
チャップリンのリアフックは、バスの下アゴにガッチリと掛かっていた。
写真では見えないけれど、これでも44cmあった。
よほど手が震えたのか、それとも夜でピントが定まらないのかブレブレの写真で最低だけれど、気分は最高だった。
これまでバス釣りを色々とやってきたけれど、ここまで嬉しかった記憶はない。何度も「やった、やった」と叫んだほど。それほど冬の夜釣りで釣ったバスは最高に嬉しかった。
モンスターと呼ぶにはサイズが足りないかもしれないけれど、あれこれ考えて、やっと釣ったこのバスは間違いなく自分にとっての記憶に残る1匹となった。
【22.4.1追記 冬バスの夜釣りを振り返り!】
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